洪水「ディリューヴィアルメア」

もうどうにでもなぁれ

TWC2022地霊殿ノーボム部門実況感想

そんなこんなで無事、TWC2022地霊殿ノーボム部門の実況役を遂げる事が出来ました。
マジで楽しかった。

 

1週間前からソワソワしてたし、実況解説の枠が確定した時大喜びしてたし、自分が実況って知り合い驚きそうだなあとか考えてたし、前日ぐらいからめっちゃ緊張して要介護Ⅳの認定が貰えそうなぐらいにはテンションその他諸々がおかしい事になっていました。

ただ、不安要素は解説のかも猫さんや前年度実況のLirioさんや前年度解説の海神さんに払拭して戴けまして。緊張しつつも楽しさを大量に享受したまま最後まで実況として及第点の動きが出来たと思います。良い経験にもなりました。


あとこれは結構な自分語りになってしまうのですが、地霊殿という作品は、やはりLNN目指しを複数人で並走するという代え難い経験が出来た事もあって本当に思い入れが深いもので、LNN目指すのを結局は諦めたとは言えども、やっぱりちょくちょく触ってはLNBを通したくなるぐらいには好きなんですね。
ただ、TWCという大舞台に携わろうという点において、自分がLNNを達成していないという事と意志薄弱であるという事は自分の中では大きな枷になっていて、少なくとも走者として応募するのは絶対に無理だと思っていました。
そんな中、実況解説の公募という物は渡りに船で。知識量はお世辞にも多い方ではないし、自分が原作に一番熱を入れていた時期から考えると割と過去の人間ではあるし、そもそも原作勢の方々との関わりが薄い方の人間でもある。それでも携わりたくて応募して、運営の方々に色々と助けて貰いまして。結果ここまでやらせて戴けた事、本当に嬉しく思います。

心温かく見守ってくださった運営・視聴者の方々、誠にありがとうございました。

 


さてこっからはいつものノリ。実況目線での今部門の振り返りみたいな。

 

自分の声には滑舌悪いし聞き取り辛いしと良い印象を抱いていないので(卒論のスライド発表練習を録音した時マジで聞くに堪えなかった)、接客業みたいな声のうわずりを意識して喋るようにしていました。
そしたら『綺麗な砕氷』『今回の実況は知らない人かなと思ったら砕氷さんだった』とか言われてるんですよ。
しかも意識が抜けてきた辺りで素が出てきて『おそといきの声もう品切れですか?』とかtwitterで言われるの本当に笑っちゃうからダメ。
実際の所、滑舌はもう少し良くしたいものですね……。てーるさんのラストランの4道ラスト向日葵妖精の時に『上下移動』と言う所を、噛んで『上下異常』みたいになってしまったのですが、それをコメントで捕捉されてしまったのは本当に負けです。

 

あと話題作りに関しても、解説のかも猫さんには本当に助けて貰いました。かも猫さんの声、マジで良いのなんの。聞き取り易いし解説も上手いし。しかも地霊殿では4機体でLNNしてる。完全無欠。
こちらの振った話題にもノッてくださいましたし、真面目に寄りすぎず楽しく実況解説している雰囲気が外にも伝わっていたようですし、二人三脚で走り抜けられて良かったと心の底から思っています。

コメントの方はそこまで意識して見れていた訳ではありませんが、憑依初手弾源安置とかは意外と知られている方が多くて自分の知識不足を再確認する形となりました。
今後はすいれいむ・あやれいむ・にとまりもLNBして地霊殿全機体LNB達成者を名乗れるように、そしてもっと地霊殿の知識を深めていきたいものですね。
それはそうとして、知ってるだけで運営の中身が限られてくるレベルの金符の豆知識を持ったミラー担当……一体何神さんなんだ…………?

 

ただ、こっちの回線の速度が脆弱で弾幕への反応が毎回数秒遅れてしまっていたのが戴けないポイントではありました。何度もF5掛けてアレだったので、一番の反省点は本当にそこですね……。

 

因みにですがもう一部門、お祭りのガヤみたいなノリで実況解説を応募しましたので、そちらでももしかしたらお目見え出来るかもしれません。

 

ほっぺたは抓らずに済みました。

 

以下はおまけ、今回の地霊殿ノーボム部門の実況をするにあたって作ってきたカンペ及び喋れそうな事を纏めた台本もどきとなっています。
平文はカンペ、括弧内は補足、箇条書きの部分は地帯ごとに喋れそうな事を書いた感じの。
当日はこんなに喋れなかった訳ですが、一応作った物は公開したいなと思いこちらに。今後攻略される方々や実況される方々の叩き台になってくれれば幸いです。
ぶっちゃけ攻略という点で見ればLirioさんのLNNブログを参照した方が遥かに有意義かも。

実は第7試合である事と制限時間70分である事を直前まで第6試合で75分だと勘違いしていました。マジで危なかった。

 

 

touhou world cup 2022 第7試合、東方地霊殿~Subterranean Animism. Lunaticノーボム部門となります
前半のノーボム部門ラッシュもいよいよ佳境と入りまして、逆転に次ぐ逆転劇であった星蓮船ノーボム部門を経まして本日2試合目、ノーボム部門としては5試合目となりました
では手短にですが、今大会の説明をさせて戴きますので、まずは恒例となりましたこちらの画面を御覧下さい

(画面読み上げ)

第6試合まで終わりました現状の累積得点としましては、先程ローズチームが見事点をもぎ取り、それをマインドチームとローズチームが同点のまま追い掛けている形となります*1

 

本日は解説にかも猫さんをお呼びしましたので、軽く自己紹介お願い致します

かも猫さんは他にも、地霊殿ですと霊AB魔ABLNNの魔CLNB1M、スコアタでは霊夢A45億、また昨年度TWC地LNB部門にて霊夢A1Mで2位となられている生粋の地霊殿プレイヤーとなっております*2

そして実況を務めさせて戴きます、砕氷と申します
地霊殿に関しましてはLNBで霊夢A1M、魔理沙B2Mが最高ラインの若輩者ですが、宜しくお願い致します
{自分は霊夢Aでは憑依/車輪/核熱*2/ペタ/トカマク/サブタレで1Mを経験、またNNペースお空通3被弾経験}

 

それではルール説明をさせて戴きます
制限時間は昨年度から縮まって70分、70分を過ぎますとFINALRUN扱いとなりまして、それ以降のリトライは出来なくなります
またISCORE改めTWCScoreは昨年度と変わらず、[数値説明及び機体名と呼称の擦り合せ]
かも猫さん、このTWCScore表を見られまして改めてどう思われますか?

 

{御三方の紹介いつやりましょう、左上→右上→左下の順?}
(てーるさんは霊ALNN、Funen1さんも霊ALNN、Teragatさんは霊AC魔ALNN)*3

 

さて、これから見ていきます地霊殿の作品としての特徴及び弾幕難易度につきましては、全体的に見てどうでしょうか?
(ゆかれいむは風霊B・神霊夢に次いで三番目、Lunaticのノーミスノーボム初心者向けに推奨される程ではありますが、次点の機体は人数が急激に減ってすいれいむからパチュマリまで揃って10人台)

 

{ここまでを5分に収める、時間次第で御三方の紹介以降の流れを後回しにする事になる}

 

始まりました、御三方それぞれの機体は[紹介]
ここでざっとですが、各機体の解説を想起についても軽く触れた上でお願い致します

全体の難所についても解説お願いしましょうか
{ヤマメ通1が最初の見所になり、その後はパルスィ凸するまでは時間がありそうなのでそこら辺で機体解説難所解説?}
・3道中後半と大江山颪は個人差分かれるという話は聞きますね
・文の想起は全体的に楽ですが、マクロバーストだけは必ずしも安定と言えないのがニクいですね
・そもそもにして魔理沙判定が足を引っ張っている部分も多いのでしょうか
・6面については最後の二枚が単調作業の精度を要求してくる事もあり、緊張に打ち勝てないと崩れる箇所ともなっていますね

(にとまりにどっかで言及したい委員会)

 

  • 1面道中開幕、アイテム自動回収ライン派or画面下左端派
    キスメ通常、弾源安置派or下避け派
    地霊殿の1面道中、最近の作品と比べると速攻が必要な全方位弾を飛ばしてくる妖精が居ないのが最大の特徴でもありますね、その替わりに出てくる二重螺旋の自機狙い米弾の向日葵妖精、ちょっとすき
    そういえばパターンの関係でヤマメ凸P3になれない自機はあるのでしょうか?

 

  • ヤマメ通1
    ヤマメ通2、弾源安置派or下避け派
    (熱病のタイミングで)ゆかれいむは一波で倒せるスペルカードが多いのもやはり強いですね、それに速攻可能な恩恵は大きいものです
    これ来年度にはそろそろTWCScoreに調整入りません?大丈夫です?

 

  • 魔理沙判定のパルスィ通2、にとまりのみ葛籠、丑の刻は触れるかも
    地霊殿の2面は道中に関しては全作品の中でも一番難易度が低いのではないでしょうか
    道中、パチュマリ等では一切合切弾の存在しない画面を作り出せるのが大変良いですね、パチュマリは他の面の道中も見ていて爽快感がありますから是非見たいもので
    (怪物のタイミングで)この作品、敵に当たり判定が無いスペルカードが幾つか存在していますのでそこも見ていきたいものです
    まあ地霊殿に関しましては全員弾源密着があったり敵本体の当たり判定が消えたりしますからね、キャラへの愛を間近で叫びたい方は是非

 

  • 3面道中前半はとにかくパターンですが、気になるのは後半ですね
    ここの怪力乱心直前でエクステンドSEが聞こえると実に美しい
    レーザーを出してくる陰陽玉は画面中央で避ける派と画面端で避ける派に分かれるかと思われますが、中弾が自機外しですので、動き回り過ぎないようにしつつもレーザーを掻い潜る必要が出ます
    画面中央ですとレーザーを上下移動のみでいなして中弾は無視する形となりますね、ショットは出てるか止めてるか、まあ止めるのめんどいんですよ
    ショットを止める話はすいれいむですと、ショットを止めて視認性を上げたい弾幕が後半面でチラホラ出てきます、注視したい所です

 

  • 勇儀通3の誘導orゴリ押し、三歩必殺正面注視+画面端にいざとなったら逃げる
    枷稼ぎ及び通2稼ぎ(昨年度のかも猫さんの話でもある)
    まあ金符に関して聞かれましたら、まずはこの枷をやってみるのをオススメします、結構取れるラインですので

 

  • 4面道中はほぼ自機狙いと固定弾だけで展開されているので、まあ完成されたパターンというものはいつ見ても美しいものですね
    2回目の4面中ボスお燐、米弾を避けた後に怨霊が爆発四散するのがネックの弾幕です、米弾は厚いしそもそも機体によっては……
    横から出てくる向日葵妖精が速攻されていく様を見ていると恍惚さえ覚えようものです
    最後の固定緑札弾の向日葵妖精、完全に左右対称ですので画面中央で上下移動だけで避けると楽しい
    さとり通1、なんか濃い弾幕が後に控えてるなあと思いながらゆかれいむで一切合切を無視するのが魅力の弾幕です
    恐怖催眠術上避けもしくは速攻は見られるのでしょうか

 

  • 黒死、画面外の弾の挙動の関係上左右どちらかに寄ると比較的楽ですね、1mmぐらい
    青と赤の回転方向が違うので、どちらか片方に意識を集中させる形で避けたい所ですが、さとりが撃ち下ろしてくるタイミングの蝶弾も避けないといけない
    そして次に来るネストの時にさとりの位置を中央にして開始しないとややげんなりさせられます、画面端で蝶弾が跳弾する都合上……
    画面端でレーザーを避ける際は上からくる蝶弾に意識を向けないと悲惨な事になりかねません
    波粒は言わずと知れた安置でしょうか、斜め前に居るままだと撃破時にさとりがちょっと移動してスリッパで蹴られる事故がありますのでそこも気を付けて
    安置の入り方は昨年度に実況のLirioさんが詳しく解説してくださりましたので、お時間あればそちらも是非

 

  • 百万鬼夜行、下京人形、メトナス、ウンディネ、アーム、ポロロッカはその都度解説をお願いします

 

  • 実家のような安心感を以てプレイされています、灼熱地獄が実家というのは少しアレですがここから更に気合を入れて臨んでいきたい所でしょう
    5面道中前半の『昔時の業火』のタイトルが出た辺りは微難所扱いされてますんで、パターンで上手く突破したい所です、本番では撃破漏れが出たりして本当に難しいんですけど
    この後5道中お燐及び早回し地帯については自機によってプレイングにかなり差が出ると思いますので、その辺りの解説を纏めてお願い致します
    (早回し地帯という単語の説明をするかどうか、どうせ神LNB部門や風LNB部門とかでも話されただろうけれども)
    (左から右に入る時にワインダーがブレる話も、ワインダー抜け見れるかな)
    まあ地霊殿のノーボム部門にはノーミスノーボムフルスペルでのボーナスはございませんので
    それにパチュマリの火水木金土個別TWCScore実装とフルスペルボーナス実装は二者択一ですからねえ
    という訳で地霊殿最強スペカと言いましても過言ではない怨霊猫乱歩、わからないので誰が呼んだかわか乱歩
    米弾の配置から大まかに入れる場所を予測したら、目線をすぐ画面反対側に切り替えてどこを抜けないといけないか考える
    左の弾を避けながら右の弾を見る、といった避け方を自ずと要求されるような気がします
    (乱歩残8でNNペース、残機の欠片は全部で50個、まあTWCScoreの事を考えると残機の欠片は15個も取れば充分ですが)
    解説の余地があればゆかれいむの隙間と後半のウイルス弾の残留についても

 

  • お燐通1とお燐通2の半安置、お燐の移動で当たる方とお燐の移動を躱す方です
    通1は会話のスキップにもよりますがテレテテレテーの1回目直後が目安
    通2は位置の派閥について(直下派閥だけどごくたまにしくじって全方位米弾が一列展開される)
    怨霊憑依妖精で初手尻撃ちと妖精の上誘導をしてから1回3way小弾の流れに沿って時計回りでお燐の下に戻るの、好きな動きなんですよね
    (にとまりやすいれいむのパターンは知らないのでそこ質問するかもしれません)
    お燐通3は一応微難所扱いですかね、怨霊が展開するフラクタル図形の弾幕は綺麗なのですが避けている合間はそんな事を考えている余裕はありません
    てか前の怨霊の出した弾がたまに残留するのやめてもろて……
    昔時の針と痛がる怨霊来ました、自機狙い怨霊の発射タイミングさえ見切れればグッと取得に近付きます、ちょっと自機狙いの軸がズレてるので慣れないと難しい
    魔理沙判定で引っ掛かる事もあるのがネックで、そもそも米弾の展開が厭らしいので霊夢でも難所ではあるのですが、どうやら猛者は目隠しでも安定するという噂がチラホラ……
    小悪霊は基本的には画面を回るスペカですが、ゆかれいむなら一周もしない内に、パチュマリやマリアリでは張り付きでの速攻が見所です
    あやれいむってどうでしたっけ?

 

  • 6道中開幕の鴉は撃破漏れをすると画面外に逃げるまでクナイ弾を撃ち続けますので、安定を取る為にも隙間を使うのが無難でしょうか
    直後の自機狙い怨霊地帯も基本隙間で無視可能です
    車輪です、ここは遅回ししたいのでそこも含めて被弾しないようにしたい所です、曲タイミングで撃破を判断出来ると最良ですね
    速攻した時に出てくる鴉は地味に面倒なんですよね、そこで壁を作られて被弾するか、それとも車輪遅回しで焦って被弾するかはお好みです
    ジェネリック波粒妖精を難無くこなしまして、いよいよ6ボス、お空との対面

 

  • 核熱は巨大弾、所謂核弾が一波ごとに二回自機狙いで放たれまして、それぞれ弾速が違う仕様となっています
    これの一回目が速すぎたりすると避ける道が大幅に狭まってしまいますので、嫌な配置が往々にして発生しやすい弾幕ですね、核弾を誘導して正面に陣取りつつも、それ以上に青小弾のどこを抜けるかにつねに気を配る必要があります
    通2も通4も初手左、十凶星は円と円が接する事を意識する感じで
    通2はペタへの撃ち込みを意識して耐久終了間際にお空の真下に入れるのが好ましいですが、撃破パターンを用意すると尚良しです
    ペタフレア、ここに来て最大の運要素、まさしく艱難の壁
    核弾の配置が重なった時にそこの色が完全に白くなって青小弾が隠れてしまうので、見た目以上に難しいんですよね、難しい核弾の配置を抜けても気を抜かずにその先に小弾が構えている事を前提に動いていきたいもの
    トカマクはお空の当たり判定消えてますが本当に些事、これはお空が上下のデカいのに隠れてからでないとダメージが入りませんので……
    中央避け派と左避け派と右避け派で分かれると聞き及んでおります
    トカマクもサブタレもLNB1Mの被弾地点としてやってしまう弾幕ではありますので、練習と本番は違うという事を我々に本当に知らしめてくれます
    サブタレも極小弾の精度要求と普段は慣れない吸引が相俟って、壁が発生した時のリカバリがし辛い、第一段階、第二段階、第三段階のどれが一番難しいか論争は永遠に決着しないやつです
    自分は第三段階が一番嫌いですね、トラウマがあるのもそうですし、加速されてこちらの気持ちが逸るのもそう

 

 

(地霊達の帰宅の神主コメントの『祭りもおわりかのう』『ぼちぼち引き上げるか』みたいなノリ)

てーるさん、今回は大変お疲れ様でした(or大変おめでとうございます)
[臨機応変な質問を]
さて、地LNB部門の解説は毎年前年度の走者の方が就かれる流れが出来てしまっているのですが……てーるさん、来年どうです?

 

{次回予告への画面の切り替わりが結構早い事を考えると紺LNB部門の紹介をしてからて~るさんへのインタビューか}
さて、画面も切り替わりましたので次回予告に移りたいと思います
こちらについては……かも猫さんにバトンタッチしましょうか、お願い致します

最後にかも猫さん、明日に向けて何か意気込みをお願い致します

 

それではこれにて地霊殿ノーボム部門、終了したいと思います
走者の御三方、解説のかも猫さん、各国運営の方々、並びに視聴者の皆様、本日は星蓮船ノーボム部門も含めた長時間ありがとうございました

 

*1:このタイミングでは走者失格に伴って1位の点数と2位の点数がどれだけ加算されるか不透明だった為ボカした発言をせざるを得なかった

*2:かも猫さんが御自身で喋らなかった実績についてこっちが補足しようと思っていたが、緊張でこの一文全部スッ飛んだ

*3:LNNスレからの参照情報だった為、Teragatさんの魔BLNNについて知らなかった

東方小説投稿サイト「東方創想話」 作品集237 概略

一つの作品集が始まって終わるまでの間に、夏が終わって秋も終わって冬の寒波も忍び寄る季節へと気付かぬ内に変容していました。こんなクッソ忙しい時期に作品集終わらなくても良いのに、と思いながらも自分で決めた事なのでとこうして筆を執っています。
あと、秋季例大祭紅楼夢でスペースに訪れてくださった方や通販にてお手に取ってくださった方、本当にありがとうございました。内容はただの絵の再掲集ではありましたが、こうして8割方捌けてついでに色紙も完売してくれた事大変嬉しく思います。
次は春季例大祭ですね。色紙はもう少し多めに書くべきだなと毎回思わされている気がします、次はどうなることやら。

 

そんなこんなで毎度毎度飽きもせずに東方創想話という東方小説の投稿サイトの、その237個目の作品集についての概略記事となります。
遂に概略という体裁さえも忘れてピックアップ作品前後編みたいな書き方をしようかと悩む頃合まで至ってしまいかけましたが、まあなんやかんやいつも通りお付き合い下さい。

 

東方創想話 作品集237(2021 08/23-12/13)

 

概略
・初投稿の方は16名、そのまま次の作品集でも投稿してくださる方が多いと好ましいのですが
・作品集が埋まった時点での2000点超えは3作品、点数幅の伸び悩んでいる中でのこれは良い雰囲気
・埋没まで4ヶ月弱、どんどん最長記録を更新していっているような

 

ピックアップ作品紹介(作者名敬称略)

  • 泥に沈む太陽 作者:真坂野まさか サイズ:59.4kb

布都が古い琴を見付けてからの、過去と今の交錯に当惑する物語。


直近に長々と感想欄にブチ込んだ身ですのでそことは別の切り口でこの物語について語りますと、自分は元より霊廟組がめちゃんこ好きなので、青娥を除いて解釈違いは殆んど発生させないように努めているのですが、その上で霊廟組のキャラクターを定義する際に、神子というキャラクターは冷徹な為政者然り情愛に満ちた道士然りと対極に位置する属性を付与する事が可能だと考えています。
この作品においての神子は過去譚の最中においては後者のように見せながらも、終盤の種明かしの流れでは前者であると開示されるという、非常に特徴的なキャラ付けが成されていました。
要するにメインに据えられた布都の視点を通しては後者にしか見えない一方で、青娥のような近しい存在を通せば前者寄りの側面が浮かび上がってくるのです。こういう一粒で二度美味しいタイプの作品めっちゃ好きなんですよね。
それでいて布都と屠自古の関係性の描き方たるや凄まじく。本文中でも語られている通り、その関係性を明確に言い切れる答えが存在しない、それが全てという。本当に好き。
にしてもこういう幻想郷縁起の内容があくまでも当事者視点からは捏造の効き得る、謂わば信頼できない語り手によって記述されているという点からこのような作品がお出しされると顔が綻んでしまいます。

 

  • 思い出は水深5cmに 作者:めそふ サイズ:19.2kb

晩夏の霊夢魔理沙回顧録


夏のエピソードを複数個並び立てて一つの物語としている中で、カブトムシというアイテムを差し込んで全体に軸を持たせていたのがとても良い作品でした。
この夏が終わっては生きていけない虫を夏の終わりと重ね合わせて霊夢魔理沙、果ては読者側の感情までもを揺さぶらせるかのような構成になっていたのがとても夏の終わりらしかったのです。
終盤の夕立から夕暮れへと続くシーンでその光景の麗しさを地の文で強調させながら、霊夢の夏への郷愁を吐露させて空気感がじめじめしないように爽快感を伴って演出されていたのも良かったですね。
他の西瓜や素麺や花火のエピソードも、夏がどんどん終わりへと向かっていくその一部分を切り取ったかのような寂しさと美しさを霊夢魔理沙の少女チックな感性から上手く表現されており、カブトムシのみの作品でなく楽しめました。

 

  • 春歌蒐集 作者:こだい サイズ:9.8kb

あうんのなんでもない、独りのちょっとした一日の話。


背伸びをするかのように反復させては途中で途切れるお決まりのセリフと、それを境界線にして場面転換を行う物語の進め方が特徴的で、あうんの行動がより可愛らしく見えるのが実に良いもの。
雰囲気主体の作品でそこまでストーリーが存在しているわけでは無いのですが、場面に応じて時間経過や思考の推移といった差異を上手く盛り込んで書かれており、あうんの視点を借りてのんびりと人里を歩き回り足を止めるかのような感覚を丁寧に作り上げていた点には息を呑まされました。特に最後の夕暮れの描写が凄く好き。
加えて地の文と一体化して描き出される心情描写もとても素敵な書きっぷりで、読んでいて春の陽気のようなほんのり温かい気分にさせられるものでした。

 

  • 駆狼 作者:きさ サイズ:186.3kb

椛と文がそれぞれ過去と折り合いを付ける為の儀式。


言うならば姆髄という怪物の襲来を軸にして、その上で過去に遭遇したそれぞれの事情と今を照らし合わせて一刀両断するまでの一大スペクタクルなのですが、文と椛それぞれの練り上げられた過去譚の質量がとりわけ凄まじいのです。過去に味わった無念やトラウマ、それらを現在の時間軸で全て解決してやるぞと息巻かんばかりのカタルシスの作り込み方には、三桁もかくやという本文量の中でも読み飽きる事無く手に汗握って読み進められたもの。
更には刀に纏わる思いの数々、姆髄の性質と絡めに絡めて進行する展開、ストーリーに交差する文と椛それぞれの互いへの感情の折り合い、と色々な方向性から彩られ読み応えに過不足無い物語として仕上がっていたのでしょう。
そして戦闘描写の濃さもやはり読んでいて楽しかった部分の一つで、剣閃に意思の奔流にスピード感に王道展開にと、氏の書かれる戦闘シーンにはいつも沸き立たされますね。
虹龍洞が頒布され天狗の面々が更に濃くなった中で、こうして飯綱丸が上司然と出ている長編が読めたのも実に良いものでした。文と椛の関係性を横からではなく上から窘める立ち位置は本当に美味しい。

 

  • 手紙魔フラン 作者:カニパンを飾る サイズ:50.7kb

フランドールが沢山の相手に手紙を書くようになって、それから。


分裂したフランドールの可能性世界を並列に進行させるアイデアそのものが特異的かつ素晴らしいのですが、その上であくまでもそれが物語の起点でしかないというのが強烈でした。
これは分裂して残った最後の一人であるフランドールが魔理沙と生活し、その過程で手紙魔となる為の要素をまず描ききり、そこまでで蓄積したフランドールの機微を魔理沙が死んだタイミングで奔流を為させ、初めて『手紙魔フラン』を完成させるのです。
フランドールの元を初めて訪れたフランドールの置き手紙、魔法と手紙の類似性を説かれて生み出された魔理沙への感謝、その二つだけを伴って魔理沙の家を後にするシーン。
分量で言えば終盤に差し掛かる頃合の場面ではあるのですが、ここを以て漸く分裂して残った最後の一人であったフランドールが目的意識を持って自立するのを読者視点では笑顔で見送れるのです。
畳み掛けては押し寄せるかのような描写量や、フランドールが見ている他の自身の光景を入り乱れさせて書かれた地の文の爽快感も含めて、やや漠然としつつも爽快感のある物語に仕上がっていたのが素敵でもありました。

 

  • 老賢神に幕は降り 作者:イワヒバ サイズ:28.3kb

外の世界で神奈子が感じた不甲斐無さと、それを露知らず変化し行く諏訪の光景。


この物語は神奈子の存亡への畏れ及び力を喪った強大な存在の悲哀をひたすらに感じさせ、それは自分視点においては東方創想話に投稿した過去作2つを想起させるに十分な物でした。その上で、美麗な言葉選びや一貫した文脈の強さがこの作品にはとても強く結び付いており、全ての要素が絡み合って強烈な読み応えを放っていたのです。自分はこの作品を読んで、ただただ『負けた』と思いました。
幕は降りというタイトルを踏まえて、物語の最後で幕は決して降りないのだと読者に暗に主張している様も見事と言わざる他無く。
後、この物語はキャラクターだけに留まらず諏訪を構成する全てに対してとても愛に溢れた作品だったと思います。自分は諏訪に数度しか訪れた事が無いので、具体的にどの描写がどこから見た光景なのかを把握する事は叶わないのですが、それでもその光景は諏訪のどこかにあると読者に信じたくさせる、そんな魅力を纏っていたように感じられたのです。
個人的な思い入れを加味した言い方になってしまいますが、自分は当作品集のポイントに依らない潜在的な一位がこの作品だと強く主張したくも。

 

  • ルーミアと哲学的な蟹 作者:転箸笑 サイズ:36.8kb

変なカニルーミアの食事探訪の物語。


この物語はカニが食事に対し初めて感慨深そうにしているシーンを読んだ際に、このカニを最後に食べて終わるのだろうという半ば確信めいたものを抱かせ、実際その通りになる諸行無常さを孕んでいたといったも過言ではありません。
事実、カニには元より『いただきますもごちそうさまもなかった。』のです。そしてそのまま、初めからそうであったようにカニは死に、ずっと一緒に行動していたルーミアの肚に入る。それが物語の流れとしてとにかく淡白で流麗で素敵でした。
キャラクターとしてのカニそのものも、どこか掴み所の無い不思議な雰囲気を纏わせつつも、食事を通じて俗に染まっていく為の下味としては丁度良い塩梅だったのかもとも思います。
加えて具に挟まれる食事シーンも邪魔にならない程良い分量で美味しそうに魅せており、食にまつわる物語を彩るピースの一つとして上手く合致していたものでもありましたね。

 

  • 十二年目の結界暴き 作者:T サイズ:90.1kb

科学世紀の住人視点から見た蓮子の快進撃と、そのアフターケアの話。


秘封倶楽部とSFの相性が良いというのは周知の事実かと思われますが、にしてもこの作品は現実の物理学の知識を下地に置いた上で展開される科学世紀の物理学らしさの濃厚さが計り知れないものでした。
登場人物の一挙一動や会話上に出てくる物理法則の存在、それら全てを理解する事は当然畑違いの自分ではままならない事ではあったのですが、設定と展開と文脈の上手さによって全容を理解し得ずとも、雰囲気だけでそれらしきものが読者視点でもある程度までは把握出来るように描かれていたお陰で画面に食い込むが如し勢いで読めてしまった程。
そしてそのSFチックに話を進行させつつも、半オリジナルキャラクターを出して夢と現の対立と和解までを展開の隆盛に持ってきていた様には感服さえも覚えたものです。
どうしても科学世紀が舞台の作品は秘封倶楽部主体になり易く、かつそれ以外を主体に置くならどうしてもその意味が必要となるものですが、この作品には確かに蓮子とメリー以外の視点によって科学世紀を克明に描き出された意味が存在しており、逆にそうでなければ描けない物であったのだな、とも。

 

  • アンバー 作者:ニッケルメッキ サイズ:16.6kb

居酒屋に連れてこられた紫苑と、その周囲の乱痴気騒ぎの話。


作中の紫苑は女苑から専らぞんざいな扱いを受けており、かつ居酒屋の空気にも馴染めず蚊帳の外に居るかのような描写がされていますが、それによって一貫した比喩表現により意味を持たせたり、女苑が紫苑に向ける本心を強調したりといった事が成されていて、作品全体に相乗効果を持たせているようでした。
かつ一連の出来事の最中においても尚紫苑はただ居酒屋に居るのみで、作中で何が起こったのかを半分理解出来ているのかも怪しく、結局それらは読者のみに伝わっている情報としてお出しされているのです。
この紫苑視点で敢えて語らせ過ぎずに作品構造に徹した書き方の強さ及び情報の小出しのやり方の上手さが、この作品の魅力を十二分に醸し出していたのでしょう。それって狙って書いても意外にも中々上手く行かないんですよね。ただただ凄い。

 

星と対面した女苑が本能と本質と対峙するまで。


この作品は女苑が個性豊かな命蓮寺勢と話を深める中で自らの根幹を模索する物語で、自分はそんな中でもやはり毅然とした態度で居るのみだった星がとりわけ良い味を出していたと思っています。
一輪や響子や村紗のような自分の中で折り合いを付けられている命蓮寺の妖怪達とは違って、それこそ女苑というキャラは精神的に若く、まるで思春期真っ只中かのように全方向に噛み付かんとするムーブで描かれている。だからこそ星の敢えて悪役を買って出つつも親身に寄り添い女苑を諭そうとする様が、女苑視点の物語中では嫌味に映りつつも読者の視点からすればその一貫した姿勢に神々しささえも覚えたものですね。
だからこそ昔話をし始めてから自身の経験した苦悩を述懐していったシーンによって女苑側にも星への親近感を見出させていたのが、物語の一旦の解決としてちゃんと感情的な質量を持っていたのでしょう。
物語で象徴的に扱われたタイガーアイの小道具的な使い方も良く、サイズ数を気取らせない軽い読み心地を生み出していたという点にもまた物語の作り方の上手さを感じてしまいます。

 


先述もしました通り今作品集も珠玉の作品ばかりで、自分の選り好みや紹介の十作品縛りによって他の作品集であれば文句無しに紹介できていたような作品について語れなかった事が大変心苦しく…。
未紹介作品の列挙にさえも選考を重ねなければならないような有様になりかねないレベルですので、『いやこの作品も紹介するべきだろ』みたいな意見がありましたら是非そちらでもこういった記事を書いて戴ければこちらとしても大変大喜びといった感じです。
普作品集内でポイントが高い順に上からローラーしていけば未紹介の面白い作品をバンバン読み進められるかと思いますので、興味のある方はそういった事も是非…。

 

後は完全な私信ですが、先日の秋例大祭の新刊をBoothで取り扱い始めましたので、そちらも興味がございましたら是非覗いてみてください。
そそわでなんかやっている人間のイラスト集というよくわからない物のごった煮のような本ですが、どうぞよしなに…。

Dじょおん&しおんDやちえAさとり構築 大反省会

幻想人形演舞-ユメノカケラ-非公式パッチ、皆様如何楽しんでおいででしょうか?
公開から既に1ヶ月経ち、加えてパッチを当ててからまだ3週間しか経っていない癖に、もう新環境においての試合回数が100戦に近付こうとしており戦々恐々としながら狂戦士生活を送る毎日です。
普段は東方創想話という古の残滓に縋ってはブログ記事を書いている身ですが、非公式パッチで新環境へと移行したこの時期において、環境初期がどういう雰囲気だったかの備忘録を遺せれば良いなと思い筆を執らせて戴きました。
昔は演舞の記事しか書いてなかったんだけどなあ
ですのでまあパッチ未適応もしくは適応予定無しの方はご注意ください。

今まで投稿した大会備忘録でない凡庸構築パーティ記事は青龍Aあきゅう軸、陰キャPけいね軸、クロスチェンジ投影パの3つ。
あの頃に比べれば演舞も絵もだいぶ上達したなあとも思わされますが、それは演舞環境に未だにしがみつく変質者全体に言える事で。環境下馬評だけで構築したパーティでは環境に微妙に迎合しない部分が多く、その結果の反省会会場となってしまいました。
ただ新環境へ移行してから初めての構築にしては中々の完成度だったので、まあこういう形で残しておきたくもなった訳です。
ぐだぐだ書き殴った文章も散見されるかとは思いますが、どうぞお目溢しをしながら読んで戴ければ…。

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新人形5体採用は流石に頭が悪くて面白い。
海外勢の人形調整の上手さに感服するのみですね…。



個別紹介

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Aつかさ@小型ビット 好奇心
紅H42A50B38
171-154-129-75-100-110
先読み/応急手当/低速移動/アップビート

今回パーティを作る段階で一番使いたかった人形です。
出来る事を調べた段階では攻撃速度を落としたHD鬼火ファイアロー的な運用が一番向いているという評価だったのですが、lv70での習得技に先読みと低速移動が並んでいるのを見て興味の方面が一気に傾きました。

アップビートで流しながら低速移動と応急手当で集弾アタッカー相手に上手く立ち回り、先読みを使って負担を掛けていくのが理想形。
その反面散弾アタッカー相手には手も足も出ない為、対面から逃げられたら悲しみを背負うという悲しい弱点を背負ってもいます。
振り方は適当。H16n-1にしつつ集弾耐久指数を22000超えるぐらいにして、残りをAに回した感じ。


アップビートもエンカレッジも両方覚える人形なので悩ましい所はありますが、今回は先読みの遂行能力を上げる為にアップビートで。
小型ビットは低速移動でSが下がった状況だと相手の先制技で先読みを透かされる可能性が十二分にあるので、そこへの対策でした。
ユメノカケラ入ってからはPあや対策をわざわざ少ない手持ちからやり繰りする必要が無くなったので、小型ビットの採用は本当に久々という…。

よって、この型を運用するに際して特に嫌だったのが交代の連続によるSP消耗、及び先読みを見越してチェン迅雷で流されるパターンだったので、裏に置く人形についてはまずそのポイントを先に考慮した上で吟味する事になりました。

 

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Dじょおん&しおん@金の簪 ネガティブオーラ
黒H46B48C18S18
223-95-124-147-95-104
ファイアウォール/ポルターガイスト/氷獄/チェンジリング


チェンジリングを吸える最強人形。
ネガティブオーラと闇の衣で色々と吟味した結果、ユメノカケラ段階での強力な人形に有利が取り易い属性と種族値をしたここに白羽の矢が立ちました。
金簪適正が高い上にファイアウォールで持ち物を焼いたり氷獄で炎属性を一方的にいたぶったりチェンジリングを覚えたりと、書いてある事がはちゃめちゃに強い新人形だったので使ってみたかったというのもあります。

振り方はEマミゾウを意識した部分多め。恐らくDじょおん&しおんの金簪運用における基本形はこれで良いのではないでしょうか。
攻撃範囲と後投げ性能の高さで、ひとまずどんな相手にでも選出する価値がある人形だったという印象が強いですね。

因みに特殊衣装で女苑だけにしてるのは南方の地脈型を特殊衣装で紫苑だけにしてるから

 

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Dやちえ@兵糧丸 徹底拘束
白H48C18D64
209-×-100-119-205-55
ドレインシード/ポイズントラップ/森羅結界/エナジーアブソーブ

疾風迅雷を止めれる最強人形。
上2体が散弾アタッカーを止めるのに向いていない点と大地人形で迅雷を止めるにはEさきの存在を加味すると割に合わない点から、徹底拘束で数値受けするのが一番の選択肢だという結論に至りました。
その上で交代戦に際して何かトラップを撒ける人形であり、かつDじょおん&しおんと弱点が被らない相手である事が好ましいという条件を加味。
残ったEキスメとDやちえを比較した際、回復速度と数値面でDやちえに軍配が上がった為、またしても新人形の採用となりました。


振り方はH16n+1とDぶっぱを両立した上で、水・大地属性への遂行速度を上げる為にCに若干割いた形。
ファイアウォールチェンジリングといったつよつよ技も持っており大変悩ましかったのですが、Dやちえにやらせたい事を考えて泣く泣く不採用に。
速攻回復技を持っていないという一点でかなりバランスの取れた人形ですね、結構好きなタイプ。

結果としてこの並びを知らず知らずに開発してしまった訳ですが、時を同じくして他の演舞勢の間で『この並び強くね?』という風説が流れ出し、起源を主張する事は出来ませんでした。とても残念。

 

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Eミケ@拘りベルト 得意分野
碧AS64B2
145-167-111-×-75-167
ハンマーバッシュ/ディストーションボム/チェンジリング/ハイトーンクラッシュ

Eネムノ@拘りベルト 仁王立ち
碧CS64D2
145-75-85-177-91-183
ラストスラッシュ/スピニングエア/チェンジリング/ラッシュアタック

上記3体を見返した時に、次に欲しい枠が幻風毒に繰り出して上から叩けるアタッカーだったので鋼鉄人形から適当に探す形に。
最初は対風属性を重く見た上で鋼/歪の期待の新人形であるEミケを採用していたのですが、後々になってパーティ全体の大地耐性と音耐性のガバさに気付きそれ以上の策を講じる必要が生じた為、急遽Eネムノに変更という形になりました。

両者共に火力は申し分無く、加えて範囲も優秀であるという点が高く評価出来るのが素晴らしいもの。
自分は素早さ負け恐怖症なのでベルトS115族でも平然と碧印を採用してしまうのですが、それでも尚扱い易かったのも良かったですね。単純にベルト人形が対面負けの上からチェンジリングを撃って後続に繋げる動きが出来るだけでも嬉しいので…。

サブウェポンについてですが、Eミケはハイトーンクラッシュをほぼ確定枠にしても許される一方で、Eネムノは技が豊富過ぎて悩ましいというのもありました。
受けに来た鋼鉄と歪の両面を見れるラッシュアタックで今回は一応良いかなあとは思いつつも、いざこちらが受け出し側に回ると中々に気が重く…。

 

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Aさとり@生命の符 影縫い
白BD64H2
271-×-122-×-134-55
クロスカウンター/水鏡/エンカレッジ/死者の呼び声

この期に及んだ際に気付いてしまった事に、『チェン迅雷を縛る動きと展開役や陰キャをアプビで縛る動きがパーティで完成しているなら当然コイツも強いのでは?』という最悪な気付きがありました。
最悪過ぎた。そして強すぎた。

Dやちえでポイトラとドレシを踏ませた後でAさとりに引き継ぐのはかなりの悪行だったと今では痛感しています。
ドレシや猛毒ダメ蓄積からの回避手段である素交代と交代技を片側ずつ縛った選出が弱い訳が無い。
回復手段に乏しいAさとりにドレシの恩恵を最大限受けさせる為にもBDぶっぱで振った訳ですが、本当になんなんでしょうね。
エンカレッジも滅法刺さりますし、Dやちえの相方はDじょおん&しおんよりもAさとりの方が合う説を個人的には推していきたい。

今度ポイトラに割り振ったパーティを使う時はEネムノにバリオプ森羅を搭載しても面白いかもしれない

 

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Aみよい@銀の簪 活発
紅H28A64D38
149-183-90-×-149-55
滝落/憂鬱の雨/スクリューロック/チェンジリング

下馬評ではAみよいが強そうという話をよく聞いていたので、流石に停止対策あった方が良さげだという一心で採用。
全体的に歪に弱いパーティにもなっていた為、そこの耐性が得られたのも好ましい事ではありました。

後は丁度良く銀簪を入れたかったのでそこも入れて、積みアタッカー対策に憂鬱の雨を採用して、スクリューロックはEネムノが居なかった時に毒属性への遂行能力が無かった事に関するせめてもの反骨精神。
ポイズントラップを踏ませる以上は酒宴ドランカーを使う事が出来ないので、そういう点でもしっくり来る技構成にはなっていました。
Hの種族値が本当に低く使っていて耐久がギリギリの場面が多かったものの、水属性が単純に優秀だったので事無きを得ていたのでしょう。



反省会

10戦はしたと思いますが、環境理解が出来ていない段階の一番最初のパーティにこんな陰キャ全開のパーティを使うのがそもそも間違っていた可能性が高いです。
環境誤認のダメだった例としては、今に至るまでAみよいを殆んど見掛けていないという点があって、酒宴ドランカーと二段構えのある積みアタッカーはそんなに魅力的ではなかったんだなあと…。(Eサニーは流行らなかったでしょと言われて首肯しか出来なかった)
銀簪Aみよいの枠がそこまで意識的に役割を持って働いていなかったので、このパーティの構築段階での欠点はまずそこでした。

とは言えそんな事は本当に些事で、今回の本当の反省点はなんと言ってもコイツ。

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環境を瞬く間に席巻した上、日々環境に最悪な方向で適応した型が次々と作られるこのDおきなとかいうtierS+++人形に対し何も出来ないのです。
見通しの甘さもあったとは言えども驚くべきはその性能、こっちも対面するまでこの車椅子ジジイの強さを半ば侮っていたので…。
DやちえAさとりの並びで駆逐しようにも、テイクオーバー千変万化で冥属性と化し逃げられるのを防がなければならない時点で終わっている。
そもそもテルミットの遂行速度もあってどうしようもない。そんな人形の対策を見落としてAみよい対策なんかにかまけていた時点でそりゃ反省会にもなります。
Eメディスンが裏から飛び出てきて試合終了する展開を憂う時代からDおきなが変な事をしてきて試合終了する展開を嘆く時代になってしまった…。



まあそんな環境だけど皆も演舞の新環境を楽しもうな!!!!!!!!
Dおきなに嫌気が差したら非公式パッチ開発陣に斬奸状を送りつけて性能を下げて貰うのも手だ!!!!!!!!
あと剛欲異聞まだ出ないな!!!!!!!!!おかしいぞ!!!!!!!!!!



最後に空気の読めない私信ですが、twitterでも申しております通り10/24(日)開催予定の秋季例大祭にて、す18bのスペースでイラストの再掲本を出させて戴く予定です。
boothでも軽く出すつもりで居るので、お時間ご余裕ございましたらお手に取って戴ければ幸いです。
去年の小説本はもうほぼ再販予定無いから挨拶用が無くなって暫くしたらどっかに上げるかも

東方小説投稿サイト「東方創想話」 作品集236 概略

前回作品集では変則的な書き方になってしまったのでこの形式はほぼ半年ぶりという計算になります。
幻想人形演舞の海外勢による非公式MODがこの間発表されたのでまたそっちの記事も近々書きたくはあるのですが、なんかそそわ関連の記事ばかり並んでいるのが壮観でそれを崩したくない思いが…
因みにあちらの方には有志として久侘歌ちゃんの立ち絵で参加させて戴きました。クレジットに名前が乗るのは誠に嬉しい事です。
剛欲異聞も遂に8月に出る事がほぼ確定していますしそちらも楽しみ。

 

まあそういう事でここいらに東方創想話という東方小説の投稿サイトがありまして、今回はその236個目の作品集についての概略記事となります。
概略とはなんぞやと言いたげに感想ばっか書いてる身ですが、まあ1kb=500文字換算でいつも通りなのでいつも通りお付き合い下さい。

 

東方創想話 作品集236(2021 5/14-08/20)

 

概略

・初投稿の方は8名、物凄く期待できるムーブをしている方もいらっしゃるので楽しみ
・作品集が埋まった時点での2000点超えは3作品、実際今作品集は最大トーナメント編でした
・埋没まで3ヶ月超、去年の同時期と比べるとペースがかなり落ちてますね


ピックアップ作品紹介(作者名敬称略)

  • イン・アワー・ロータス・ランド 作者:Cabernet サイズ:132.4kb

美宵達座敷童子が一つの家の栄枯盛衰を過去から見守ってきた事の陳述。


この物語の何が強烈かと言われれば、間違いなく二十世紀という動乱の時代を駆け抜けた座敷童子たちの描写の積み上げと、幻想郷の時代推移と共に変わっていく大衆の生き方なのでしょう。
それ故に座敷童子が淡い夢に酔わせ記憶の断絶を引き起こさせた事によって、その時代推移の暗部の仔細を誰も話せずに現在の時間軸まで生き続けてきた美宵ちゃんの悲壮が光り、そして過去がより重苦しく映るのです。
オリジナルの家系図を以て過去の人里についての描写を深め、かつ三桁ものkb数によって表現されたこの『二つの心臓の大きな川』の如き物語は、最早ありきたりな悲劇の域をとうに超えていたのでしょうね。
終盤に至って文中に蓄積させた悲哀が堰を切って放出され、読者側の感情移入を強めてきている文章の作り方も実に巧妙で、作品に対する感情のコントロールの上手さを感じたものでした。
にしても蛮奇といい依神姉妹といい鳥獣戯楽といい彼女達の語る物語もまた面白く、それによって美宵の語った物語に一層に深みの出てくる物語構成もまた乙なものです。
この長さでしか得られない感傷と読後感に支配される、激甚な一作とも言えるような長編でした。
それはそうとしてこれが東方創想話における美宵タグのまだ2作目という事実が凄く謎。

 

  • 歩くような速さで 作者:くろさわ サイズ:48.0kb

ルナサの奇態な教諭依頼とその末までの話。


この話は伏線が後々に開花するような中編ではなく、寧ろ日常の内にあった特別な事を数個纏めて書き出して物語の形としているような雰囲気から成立しているものであったと言えます。
だからルナサがレミリアパチュリーと交流し彼女達の成長から何かを得る、といった事が特徴的に描かれる訳では無く本当にその楽器の腕前の成長を喜ぶ講師の視点でこの物語が綴られていたと思うのが一番自然なのかなとも。
そういった日常の起伏の中に挟まれる魔理沙や早苗も物語の一員として違和感無く溶け込んでいる様も妖精メイドたちのキャラの立ちようも、タイトルの音楽記号のように緩やかに進行している物語を演出しているようで面白かったり。
後は終盤のレミリアパチュリーが演奏会を開くその開場間際の描写で一瞬文調が変化するのも、演奏会の空気をその文調によっても表現しているかのようで雰囲気作りが実に綺麗な物語でした。
音楽的な妙を含んで展開される会話も見所な柔らかい空気の作品と言い換えても良いですね、好き。
早苗さんとウォークマンの組み合わせと聞いてサークル:芦山文學さんの『コロラドから来た男』(『大芦山文學紀要』収録)を思い出すのは性でしょうね。作品の毛色は違うとは言え。

 

  • そのたびごとに 作者:うぶわらい サイズ:11.8kb

阿求だけが覚えている小鈴と積み上げたじゃんけんの記憶。


何と言っても、小鈴がお決まりの癖でお決まりのセリフでお決まりのパーを出す、そのなんともない行動に求聞持の視点を通す事によってそのトレース具合を面白おかしく、かつ阿求の情動を以て描かれていたのが心地良かったのです。
御阿礼の子という独特の、謂わば小鈴よりもずっと大人びて描かれるべくして描かれる立場が序盤の語り口感情持ちでは強く見える一方で、後半に至るにつれてじゃんけんが段々と交友関係の一端の行動として描かれるようになっていき、最後には何の変哲もないただのじゃんけんとなって阿求の描写も小鈴と等身大になっていく様は、複数のチャプターで区切られた短編はかくあるべしとすらも思わされた程でした。
特に阿求を描く作品というのは、やはり阿求の有する常人ならざるものにスポットを当て鮮明に映し出してくれる作品が好きなのだなあとも思わされます。

 

  • 私らしくいきましょう 作者:朝顔 サイズ:17.7kb

布都と一輪の華やかな一日の話。


物部布都というキャラクターの、やや時代錯誤で道教よりも神道に寄ったスペルカードを使うような側面からこういった物語を紡がれるものかとある意味関心したというのもあります。
それでいて彼女達の時代感覚や少女性という部分にも踏み込んで丁重かつカラっとした物語として仕立てていたというのも実に面白く、『自分らしさ』という主軸も含めて気持ち良く読ませて戴きました。
何というか真面目な箇所とちょっとふざける箇所の文中の流れが啀み合わずに両立しているのも話の立て方の綺麗さを感じもしましたね。
原作のあれこれを作品の要素として昇華させるのが好きな方の作品なんだろうなとも思えた作品です。

 

  • 具体的な生活 作者:ドクター・ヴィオラ サイズ:49.4kb

文の奮起、及びはたてが追い求めたうつくしきものの姿を綴る為の物語。


この作品の素晴らしい点として、冬山の厳しさと雪模様の厳しさで文章を仕立てつつも、物語の主要となるポイントは色彩豊かに彩る事で冬の残酷さをこれ程かと表現しながらもその中に根付いた温かさをも内包させていた事だと思っています。
その上で文とはたてが山の険しさに挑む際において、対峙した時のその友情関係をうつくしいことと扱う事で冬の残酷さをも二人が打ち破ってくれるという確信さえも抱かせる動機付けのやり方が素晴らしかったのです。全体の流れがほぼそうであるべきという展開の中で進行し、結果全てが在るべき場所に戻った上で文もはたても胸中に以前よりも強い思いを持って物語を終わったこの物語は、読後も熱を帯びた爽快感を感じさせた程。
かつ作中では改行や文の取り方が練られており、読者が視覚的にも物語の勢いを把握しやすくなっている構成もまた、氏の作品に対する技量や思慮の一部分に触れさせてくれたという気分を味わったものです。
それに美的センスに囚われない"うつくしさ"や天狗としての生涯の趣味への打ち込み方といった登場人物の個々の想いも読ませる文章の取り方が緩やかで透徹で愛おしい作品とも思えました。

 

  • 見てる 作者:夏後冬前 サイズ:20.9kb

二人の念写使いが意気投合して写真を撮る話。


はたてのポジティブ性と菫子の若干斜に構えた感じの対比を上手く使った上で起承転結の物語に丁寧に落とし込み、キャラクターのちょっとした成長物語としても機能させていた物語として実に巧妙でした。
事件から逃げようとする菫子を諭すはたての語調に若干の弱々しさを湛えさせて、菫子視点の書き口の中での感情のハードルを下げさせていた点についても、作劇上で読者に感情移入させ易くしているように感じて良かったり。
個人的には燻製というちょっと洒落た小道具を使ってはたてと菫子の邂逅を楽しげに描いていたのが特に好きなポイントで、会った場所の舞台演出としても共通事実で話に花が咲く前の緩衝材としても納得が行くように描かれた繊細さを感じます。
何と言いますか、全体的な流れがとてもスムーズでスクロールバーが後どれくらいかとか確認しようとする間も無く、丁度良い長さの短編として落とし込んでいる面白い作品と考えるのが一番筋が通っているのでしょうね。

 

  • 唯春の夜の夢のごとし 作者:灯眼 サイズ:36.2kb

女苑が紫苑の禍福で儲ける夢の中の話。


女苑の視点を介して描かれる人里の模様と、それが物語が進む毎にどんどん変容していく様のトントン拍子感覚が面白く、破滅へ一直線に駆け抜けるような感覚を覚えるような物語です。
一応ジャンルを明文化してしまえばこの作品は恐らくシュールギャグに位置するのだと思いますが、それでも読んでいる最中は全然そんな事を思わないというのはそれだけ物語として綺麗に成立していたからなのかもしれません。
実際、姉妹という関係性を不変の物として扱った上で女苑が紫苑へ抱く感情を揺るがしていた書き口が、巡り巡って女苑の我欲の矛先が全てを無かった事にしようとしたというのが、そうあるべき展開と思えるぐらいには力強かったのです。
ついでに作中で仄かに語られた紫や慧音、阿求に小鈴の言動も『このキャラクターならこうするだろうな』という感覚を伴っているのも、キャラクターの人選が氏らしいというのも含めて面白く読めました。
中盤の女苑の掛け声はやっぱり誰しもがSOUL'd OUTを思い浮かべるんですかね?ですよね?

 

こいしの視界に入った地上の四季折々の話。


無季節の殺風景が広がる地底の描写から始まって、そこから春夏秋冬とこいしの地上探索を四篇連立させながら、その上で些細な描写に地霊殿でも年月が経過しているという要素を加味させている物語構成が実に際立っていました。
それで居てそれぞれの季節において特色のある情景を書く中で、その地の文がこいしの五感を介した少女チックな文章としてきっちりと整えられている箇所に、物語としての完成度の高さを見出したもの。
しかもさとりの扱いを単純に地底における微細な季節変化を示す小道具に留めずに、こいしとさとりの関係性という形で再利用していく妙もあって、雰囲気物の短編への執念に近い感情さえも感じられそうで。
最終的に地霊殿の執務室が無季節から季節ごちゃ混ぜになるのも何気に好きだったりします。

 

  • A to Z memory 作者:カニパンを飾る サイズ:169.8kb

AからZまでを通して描かれる、霊夢萃香魔理沙と幻想郷のスペクタクル。


この作品は幻想郷にあって幻想郷にあらぬような独特の世界観のようで、読み進めると段々作品がどういった構造をしているのか漸く分かってくる、そのタネ明かしの順序がかなり練られた長編でした。
大きな変化を巻き起こしてしまった魔理沙とその変化に対し何も出来なかった霊夢の間の隔絶は余りにも惨く、全てが明かされた頃には全てが終わって何も太刀打ち出来なくなってしまっていて離愁以外の表現のしようも無いレベルで。
ただ、他の方の感想に見られるような辛さを自分がそれほどまでに感じなかったのは、恐らく氏が同作品集に投稿された『れいすいかショートショート』における霊夢萃香のほんわかとした雰囲気が、きっとこの作品においても最終的には大団円に落ち着いてくれるのではないかという期待を抱かせたからなのだと思います。
その状態の中、世界から爪弾きにされた者同士の日常シーンへと至る為にもう一度霊夢魔理沙を引き合わせた上で、しっかりと離別の挨拶を以て決着を付けてくれた展開には感謝しかありませんでした。
本当にここまで長くて正解な作品で、AからZまでのタイトルが皆意味を持っていたのも素晴らしく、長編と言うよりも最早巨編と呼んだ方が差し支え無い物語だったのでしょう。
読み返したいという思い以上に初読の感想をずっと心に仕舞っていたいという感情が大きい作品ってのもまた乙な物ですね。

 

  • 海辺の宿題 作者:海景優樹 サイズ:58.2kb

幻想郷に顕れた海と、それに対する村紗の想いの物語。


村紗の抱いているであろう海への感情を善悪問わず描く舞台として幻想郷内部に海そのものを持ってくるという発想がまず好きなのですが、それに付随した幻想少女達の楽しげな雰囲気を主軸とは関係ない部分で描いてくれたのもまた好きでした。
その何気ないかのような描写のお陰で村紗の海へのスタンスの浮き足立っていない部分が浮き彫りになるからこそ、一度目の海小屋後のこいしとの問答や二度目の海小屋後の戦闘シーンで見せた激情が映えていたのかなとも。
加えて、この作品のオリジナルキャラクターであるローレライの立場はかなり薄い方だったのですが、それも聖や命蓮寺の面々が終盤で介入しても煩くならない要因となっており、ここも村紗の心情変化を強調させる為の要素になっていたのです。
そうやって作品全体で村紗の感情の起伏に焦点を当てた上で最終的に全てを乗り越えさせ、海を消す消さない以前で物語が終わりを迎えた所に、村紗の吹っ切れとの同期さえも感じて感情の扱い方の上手さを見たものでした。
剛欲異聞が出るにあたって村紗についての多少の掘り下げがあるかと思いますが、それでもしこの作品に瑕疵の出てしまう描写があった場合はこの作品が時期の境目を感じられる示準となりそうでちょっと複雑な気分もあったり。

 


先述もしましたが今作品集は本当に素晴らしい作品が多く、一人一作のみの紹介という縛りや自分の選り好みの問題で多様な珠玉の作品を紹介出来ていないという問題が強烈で…。
作品集内でポイントが高い順に上からローラーしていけば他の面白い作品とも邂逅出来るハズですので、気が向いたら是非慈善事業ぐらいのお気持ちでどうぞ。
本当に面白い作品が多くて紹介漏れを列挙してもかなり長くなるから出来ないのも苦痛。

 

後はいつもの勝手な私信となりますが、10月24日開催予定の秋季例大祭においてサークル申し込みをさせて戴きました。
今までにtwitterに投げてきた絵や新規で書いた絵を10枚ぐらい掲載したイラスト本を出す予定ですので、まあそれなりの時にまた告知します。

東方小説投稿サイト「東方創想話」 作品集235 感想後編

前編を投稿した時に1ヶ月以上掛かるかもしれないな、と思っていたのですがこうして3週間で投稿する事が出来て良かったのなんの。とりわけ忙しい時期も過ぎ去って、束の間の休息を味わいながら創想話に入り浸れる感慨を身に染みて感じております。
現在最新となっている作品集236からはまた概略のスタイルに戻していきたいと思いますので、宜しければ今後もお付き合いくださいな。

 

ピックアップ作品紹介(作者名敬称略)

  • 舟幽霊の復讐号 作者:ドクター・ヴィオラ サイズ:32.9kb

感想を書き過ぎて結局向こうにも投稿しちゃうの、なんだかんだ言って自分で設けた言い訳すらも破っている感じがあってもうアレですね。
個人的にはとりわけ作中で何度も扱われた十割という単語も好きで、聖という超越者を表現しながらも村紗の行動描写にも一貫性を与えていて実に読み易い。その一方で聖が葬送十割の目的で海戦に乗り込んだ最中も村紗は海への斬奸状十割で挑んでいるのだからああも迫力が出る物だったのでしょう。
前編の方でも氏の作品を取り上げましてそちらも長文感想が出来上がってしまったのですが、あちらを洋画や戯曲の格調高さと称するならばこちらの方は活劇や少年漫画でしょうか。
文章至る所からギラつく剥き出しの感情が、こちらの方が渇望的に読者側を煽ってくる構図となっていて、本当に両作甲乙付け難いものです。
ただもし本当に雌雄を決させるのであればこちらでしょうか、バードの梟雄っぷりと村紗の対比の熱量がやはり好きなもので…。

 

  • 笠にゆうきを隠して 作者:ハンナブラ サイズ:40.6kb

艶めかしい肢体の描写や軟膏の塗布の描写がやや成人向けに片足突っ込んでいるような所もこの作品の特筆点に挙げられますが、それ以上に鈴仙の淡い感情の機微が丁重な点も挙げられましょう。
恋慕を自覚する鈴仙とは正反対に無自覚な魔理沙の姿、薬売りとしての余所行きの変装で自らの期待や恋情までもを無理矢理隠そうとする姿。個々の描写に不随する感情や行動が繊細に描かれており、それを鈴仙の一人称視点という文体で巧みに表現されていました。寧ろ視覚的な表現という点で言えば、先述の艶めかしさもこの機微の表現の一部かのように思わされていたのかもしれません。
後はやはりタイトルにもあるように、笠と髪についてでしょうか。変装時には笠の下に髪を纏めている鈴仙が、魔理沙の何気ない一言によって髪を意識し出して。
首筋から梳き上げる仕草もシュウカイドウの匂いを意識してしまう所も、鈴仙の感情を切に表現していて読み応えがあったものでした。
にしてもシュウカイドウがウリによくあるハート型の葉を付けるって点もなんか色々考えてしまいます。

 

  • 殺しあい 作者:バームクーヘン サイズ:4.7kb

冒頭は殺伐っぽい文脈を匂わせているのに、少し意固地になってしまう穣子の姿と言い静葉のあっけらかんとした口調と言い、ミスティアも含めてなんだかんだ可愛らしい作品に纏まっていたのが短編的で良かったと思います。物騒って単語に違和感を覚えなかった静葉もちょっと抜けてて良い。
後は地方名で勘違いオチを付けておいてから実は穣子だけじゃなく静葉も勘違いしていたってラストに落とし込んでいたのが何気に好きで、地方名の部分だけで終わってたらマイナス評価だったかもしれないぐらいには丁度の塩梅に落とし込まれていたように思えます。
しかし『これではんごろしにします』のおばちゃんの画像を最近めっきり見ませんね…。ネットの流行りの栄枯盛衰の速さを切に感じてしまいます。

 

  • 魔法キャンディの浮かぶ夜 作者:あぶらげ サイズ:9.9kb

魔法の加減が分からなくなったパチュリーに対する荒療治と温かさが主軸の作品で、その荒療治に料理の如く繊細な下拵えの手作業を設けるというのも面白い作品でした。
紅魔館ではいつもの事だと言いたげに緊張を感じさせないふんわりとした文体が、そのまま作品の雰囲気にも現れていたように思えるぐらいにとにかく優しい感触が印象的で。最後のレミリアの一言も失礼でちょっと我儘で、だけれども作品全体から漂う優しさがそれを中和していたのが良かったように思えます。
魔法キャンディ、やはり発想が可愛らしいですね。少し見てみたいかも。

 

  • Creation of Creator 作者:きさ サイズ:119.6kb

これで何度目かの長編特有の感想を書き過ぎて向こうに投稿しちゃうやつを成し遂げてしまったのでこちらには手短に。
この作品、一度秘封の中編を書いた事のある身としても秘封倶楽部の二人の位置付けをこう運ぶのかと感嘆させられたものでした。
深夜に氏が秘封に苦戦している旨をよく話されていたので如何なる物になるかと考えていたら本当に凄い物を読んでしまったという気持ちで満たされるぐらいの勢い。
あとこれはしょうもない話ですが、ES細胞然り生物倫理が技術進歩の小さくはない足枷になっていると思っている身としてはテセウスの船と称するのも強ち間違ってないのです。
将来の利権と今の利権の二兎を追ってしまい全ての原因となってしまった門脇氏に対し、その後の行いを加味しても自分は怒りこそ抱きはすれど責める事は出来ないですね…。
それはそうとして京大病院に時折通っている友人のせいで病院のシーンが思いっきりそれにしか見えなくなっちゃったの本当に現実のバグ。あそこのマスコットキャラのくーぷぅの顔が過ぎってしまったの事故ですよこんなん。なんで??

 

  • 映画、city、やさしさに 作者:水上缶詰 サイズ:27.5kb

まず演繹的な入れ子メタフィクションって時点で良い発想ですよね。どこまでが現実階層でどこまでが劇中劇階層か分からないそのあやふやさが実に頽勢的。
幸福の中でも不幸に充てられて前に進めなくなってしまう前二篇、居なくなった姉の幻想がこびり付いて離れず憑き纏い害を成し、それはまさしく酩酊特有の浮遊感のようで。そこから直後の一篇では紫苑が女苑の手の届く範囲に居てくれてかつ現状を打破する切っ掛けにすら成り得るという、直前からの見事な対比を描き切られ地に足の付いた安心感さえ覚えたものです。
繰り返し描かれた呪いというのも、結局この作品においては紫苑と女苑の姉妹関係とすらも思えそうな物でしたが、それを最後では同時に愛や祝福とさえも言わせしめる推移もまた良く。
不幸の連鎖の奥底からささやかな幸福に至るまでのカタルシスは成程こういう階層構造の物語でも得られるのだなとさえも思わされます。御見逸れしました。
まあしかしこの劇中劇階層、全部面白いからズルいものですよ。それぞれ単一の作品として振る舞えるのに、相乗効果でもっと面白くなってるのだから尚の事です。

 

  • あかり from HERE 作者:灯眼 サイズ:31.7kb

いやその…前編で長文感想投げた作品の作者二名に間を開けずにまた長文感想を投げてしまい…。いや面白い作品を書く方が悪いが?開き直りが過ぎる
執筆活動への意識的な側面という点がとりわけ面白かった当作品ですが、やっぱりラストシーンへの加速が滅法に気持ち良い作品としても凄く面白いんですよ。中盤で匿名のファンレターに対してどこか雲を掴むような反骨精神を抱いて執筆に臨んだ阿求が、最後に小鈴への嫉妬とも言える明確な反骨精神を持って執筆に熱を入れた、謂わば成長物語と考えてもやはり好き。
恐らく前編で取り上げた氏の別の作品が無かったら、まさしく"氏と言えばこの作品"という感触が大幅に更新されるような作品だったとも言えるでしょう。
因みに少し申し訳無い事なのですが、あとがきを読む直前までタイトルの由来が氏の名前が"灯"眼だからというのもあるのかなと勘違いしてました。
元となった曲を折角なので聞いてみたら成程、映姫の説教の文脈はこれもあったのかもとも。『日々の隙間にふざけろ、目一杯遊べよ!』というリリックは阿求にも映姫自身にも掛かっているようで愛おしい。

 

  • 少女ああああのデータはありません 作者:転箸 笑 サイズ:13.1kb

大学に進学して身の丈が逆に縮まった菫子が久々に怪異と触れて奮起する、その道中の感情の持ち様が不思議な現代的説話譚にマッチしていて妙な魅力があったのが印象的。
それでいてバイトとの兼ね合いや自販機で購入する飲料といった部分でしっかりと菫子の成長という要素を抑えていたのが、短い作品ながらも確かな読み応えを生み出していたように思えます。
それと菫子の感情面についても、昔抱いていた万能感が成長するにつれて薄れていく、ダニング・クルーガー曲線の如き感情を自認しながらも、初めから自販機を運ぶ前提で思案する姿も良かったものでした。
その文脈で行くと『私には、その時間に見合うだけのお土産話をこさえる義務がある。』って一文も好きですね。この菫子なら幻想郷に行けなくなる訳が無いという感覚を文中で補完してくれるのが心地良く。
しかし菫子のように"喉の乾いている"人間は自販機からしてみれば少数派なのでしょうか。何か物哀しいような気がしてなりません。

 

氏が氏なので『半年遅れの夜伽話への追悼作品かな?』ってのが第一感想でした。多分そんな事無いと思うし凄い失礼だと思う。
二進も三進も出来ずにその場で停滞し退廃していくだけの二童子の表現が実に蠱惑的かつ柔らかなタッチで描かれていたのが印象深かったものでした。
悲観的なハズなのにそれを匂わせまいと自ら穢那の火に焼べられる里乃と、その衝動を余す所無く拾わされる舞の不埒さが汚らわしくも悲哀さえ纏っているのです。
ポケモンブラック・ホワイトのNの部屋を思わされるような、そんな気分。まあしかしそっちの畑の人は本当に表現が上手いのだと実感させられましたね…。
『だから茶番。ぜんぶ茶番。』から続き畳み掛ける一行だけでも特有の強さを感じずにはいられません。それはそうとしてサトノK2ってなんだよ。

 

  • 結局、釣れるに越したことはない 作者:めそふ サイズ:31.3kb

総じて王道の二次創作と言うべきか、そういった起承転結を以てはっきりと示してくれる展開の読ませ方が実に面白い。
特に終盤においてフランドールが得た悔しさを咲夜も味わい、かつそれ以上の悔しさを得させてから共同作業という形に運ぶ事で、二人共いっぺんに釣りの楽しさを享受させるその展開の妙ですよ。
湖のヌシに打ち克ち竿を振り上げた瞬間から地の文が情景描写に振り切っている部分も、こちら側の読みたい文章を丁寧に出力してくれた感じさえもあって実に楽しいのなんの。
全体的に読み易い文章としてのお膳立てがかなり高く、40kb弱の作品だと言うのにスルスルと読ませてくれるというのもあったのだと思います。
しかし十六夜咲夜とかいうキャラクターを魅力的に描いてる部分もやはり好きなんですよね。湖のシーンで釣りの醍醐味は景色だの宣っておきながら、『やはり軽率に適当な事を言う物じゃない』って後々になって地の文で暴露されたらたまったものではない。けれどもそこも面白いのだから実に不思議。

 

あとがきはないよ